歳末別時念仏会

時宗総本山清浄光寺(遊行寺)では、毎年11月18日~28日の期間に歳末別時念仏会を厳修しています。ここに歳末がついているのは、本来年末に行われていたためであり、昭和5年(1930)から11月へ変更し厳修されています。

そもそも別時念仏とは、祖師の命日・彼岸会などに当たって一定の期日(1日、7日、10日、90日など)を定めて念仏三昧に専念する修行です。

総本山清浄光寺では、年間を通じ様々な行事が行われておりますが、特に、春秋の開山忌、9月の薄念佛会、そして、歳末別時念仏会を三大行事として厳修しています。

近世時宗教団は、全国を旅し念仏を流布させる遊行上人と総本山清浄光寺に独住していた藤沢上人の二大体制でした。そのため、1年を通じて行われる行事も共通して双方で行われていました。

 

一つ火報土入2s

◎別時念仏会の法要内容

法要自体は、前段「報土入り」(詰時つめじ)と後段「御滅灯おめっとう」(一ツ火)により構成されています。

「報土入り」(詰時)

前段「報土(極楽)入り」とは、すなわち浄土往生の実践行です。詰時とは、「詰時衆」の略で、時間で交代奉仕をする同行の意味です。

本堂に敷かれている長いござは、唐代の浄土教者善導の著作『観経疏』散善義に記された「二河白道にがびゃくどう」を表現しています。

修行者は、報土である白道に入り、先へと進んでいき遊行上人の前で結跏趺坐けっかふざし念仏三昧に入る行です。これは、「還来穢国度人天げんらいえこくどにんでん」つまり還相回向を表現しています。

 

御滅灯」(一ツ火

後段「御滅灯」(一ツ火)は、本堂内の火が次々に消され、最後にこの大光灯を報土役が消し、後灯を後灯役が消します。この漆黒の闇のなかで十八念仏が始まり、報土役・後灯役は、火打ち石で火を起こします。一度目は空中で火花を散らす「見せ火」で、二度目で「火口箱」に火花を打ち込みます。打ち込まれた火は、闇からしだいに灯明へと移され、再び弥陀と釈迦の光明に照らされた世界が戻ってくることを表現します。

一つ火02

 

一つ火03一つ火参考09

 

◎別時念仏会の法座

本堂の内陣は、報土(極楽)を表現しています。ここには、十二光箱(境葛籠さかいのつづら)を置き、報土と穢土(娑婆)を区分しています。更に、中央には、鳥居形の枠を設置し歴代上人の名号を掛け、これを別時名号と呼びます。その中心には、現在の遊行上人の名号を掛け、これを報土名号と呼び、別時念仏中の本尊とします。

その掛けた名号の前に置かれる灯台を「大光灯」(報土大光明)と呼びます。これは、阿弥陀仏の光明にたとえられ、大光灯を管理するのが報土役です。

また、内陣と外陣の境には、十二の灯台が置かれており、これは、阿弥陀仏の別号である十二光仏を表現しています。この火は、全国檀信徒からの奉仕者によって管理されます。

外陣は、穢土(娑婆)を表現し、穢土の教主釈迦の絵像を掛け、その前に灯籠が吊されています。この灯籠は、釈迦の光明を表現しており、後灯と呼ばれています。この火を管理するのが後灯役です。

堂内の左右の灯は、六灯といい、六方世界の諸仏を表現しています。

役者の服装ですが、内陣中央の大光灯を管理する報土役は、鼠色襲法衣かさねぼうえ紐締五条袈裟ひもしめごじょうけさです。外陣の釈迦の後灯を管理する後灯役は、鼠色単衣法衣ひとえぼうえ・紐締五条袈裟です。また、御番頭ごばんがしら、番帳役、番帳代役は、鼠色襲法衣・紐締如法衣です。

これらの服装は、中世遁世者の姿であり、時衆の正式な法衣とされています。

 

◎アミ引きダ張り念仏(十八念仏から幽音念仏ゆうおんねんぶつ

法要が始まり、十八念仏(低音・中音・高音各六回ずつ計18回の念仏)の合唱から別時念仏独特の「ア」「ミ」引き「ダ」張り念仏に移って行きます。ナムアミダブの「ア」「ミ」を引き延ばし、「ダ」音を張り上げる大合唱の連続です。

 

番帳読誦

この別時念仏会の進行役は、「番帳役」と呼ばれ、それを補佐するのが「番帳代役」です。この「番帳」とは、別時念仏会への加入者名簿です。

「番帳読誦」は、法要に参列し祖先等の供養を申し込んだ人々の名前を読み上げるものです。

また、この法要を行うにあたり、全国の時宗寺院及び檀信徒、さらには藤沢市の市民の方々から浄財の喜捨(勧募)をいただいております。

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